埼玉不動産の本川です。
「最近、家賃は上がっているのでしょうか」。ここ数年、オーナー様からも、お部屋を探されている方からも、同じご質問をいただく機会が増えました。
答えは「上がっています。」
ただし、「上げれば決まるわけでもありません」というのが、現場の実感です。
20年以上かけて効いてきたリフレ政策
日本では長く、金融緩和による物価の底上げが試みられてきました。1999年の「ゼロ金利」導入に始まり、2001年からの量的緩和政策(QE)、2013年からのアベノミクスによる作為的なインフレ化政策、そして2016年のマイナス金利の容認。この一連の流れがようやく効き目を発揮し始め、2022年以降の日本は実際にインフレへと転じました。
物価が上がれば、建築費も、修繕費も、管理コストも上がります。賃料はそれらに遅れて動く性質がありますが、遅れて確実に反映されていきます。
コロナ禍が重ねた「人の移動」
2020年3月にWHOがパンデミックを表明し、リモートワークが一気に広がりました。その結果、都心から隣県部へ人が移動する流れが生まれます。さいたま市北区は大宮駅まで一駅、上野東京ラインや湘南新宿ラインで都心へ直通できる立地です。「都心に通えて、もう少し広い部屋に住みたい」という需要の受け皿になりました。
インフレによるコスト上昇と、コロナ禍による需要の移動。この二つが重なったことで、賃料には上方向の圧力が掛かるようになっています。
JR宮原駅徒歩10分圏内の賃料水準
弊社が日々お預かりしている募集データから、単身者向けの二つの面積帯を共益費込みで見てみます。
20〜25㎡の平均賃料は、月額6.26万円前後。
25〜30㎡の平均賃料は、月額7.16万円前後です。
数年前と比べると、いずれの帯域でも水準が切り上がっている、というのが率直なところです。特に築浅・駅近の物件では、その傾向がはっきりと表れています。
ただし「高すぎる賃料」は決まりません
一方で、相場を大きく超える賃料設定の賃貸住宅は、入居までに時間がかかるようにもなっています。
理由はシンプルです。お部屋探しは、まず「家賃の上限」で絞り込むところから始まります。相場より一段高い設定にすると、そもそも検索結果に表示されず、内見の候補にすら入りません。月額三千円を上乗せしたために、二か月余分に空室が続く。これでは差し引きで損失になってしまいます。
賃料が上がる局面だからこそ、上げどころと据えどころの見極めが大切になります。周辺の成約事例、募集中の競合物件、そして自分の物件の設備水準。この三つを突き合わせて、決まる範囲でいちばん高い水準を狙う。地味ですが、これが空室損を最小にする一番の近道です。
北区の賃料水準について、お手持ちの物件で確認されたいことがあれば、いつでもお声掛けください。
本川 大(ほんかわ だい)/ 埼玉不動産 代表取締役
よくあるご質問
Q. 賃料が上がっているなら、更新時に値上げをお願いしてもよいのでしょうか。
A. 可能ではありますが、慎重な判断が必要です。
既存の入居者様が退去された場合、原状回復費用と募集費用、そして空室期間の賃料損失が発生します。値上げ幅と、入替えに伴うコストを比べたうえでご判断されることをおすすめします。
Q. 面積が広いほうが、賃料単価も高くなるのでしょうか。
A. 一般的には逆で、面積が広くなるほど㎡あたりの単価は下がる傾向があります。
ただし総額は上がりますので、入居者様の予算上限との兼ね合いになります。20㎡台前半と後半では、狙える入居者層そのものが変わってきます。
Q. 募集開始から、どのくらいで決まるのが順調と言えますか。
A. 時期や物件によりますが、繁忙期であれば一か月以内、閑散期でも二か月以内に申込みが入るかどうかが、賃料設定が適正かどうかの目安になります。
それを超えて反響が薄い場合は、条件の見直しをご相談させていただくことが多いです。






