
埼玉不動産の本川です。
先日、知人から、こんなご相談をいただきました。
ご相談内容
「二世帯住宅の2階と3階に自分たち家族が住んでいます。1階は母が暮らしていましたが、5年前に他界してからは、泊まりに来る友人が使うくらいで空いたままです。賃貸に出そうかと考えているのですが、二世帯住宅の1階部分だけを借りたいという方はいるのでしょうか」
同じような状況のお宅は、実はとても多いのです。今回はこのご相談を題材に、私なりの見解をお伝えします。
結論から申し上げると、ニーズはあります
まず、借り手はいます。ただし「賃料次第」というのが正直なところです。
賃料に影響するのは、立地、階数、間取り、広さ、きれいさ、築年数、そして設備の充実度です。設備というのは、エアコン、ウォシュレット、シャンプードレッサー、TVインターホン、インターネット無料、追い焚き、宅配ボックス等といったものです。

二世帯住宅ならではのマイナス面
二世帯住宅の一部を貸す場合、玄関の位置や動線によっては、一般的なアパートやマンションと比べて使い勝手が劣ることがあります。オーナー様が同じ建物の上階にお住まいという点も、借りる側にとっては気になる材料です。
ただ、これらのマイナス面は賃料で調整できます。周辺の同じ間取りの相場より思い切って抑えた金額を設定すれば、「多少不便でも、この広さでこの家賃なら」という方が現れる可能性は十分にあります。
賃料は「下限」から考える
ご相談のケースは周辺相場が7万円から10万円ほどの地域です。極端に考えた場合、3万円という賃料水準なら、十分にニーズが見込めるとお答えしました。
設定すべき賃料の下限が見えたら、部屋の利便性(立地・築年数・間取り・㎡数・設備など)から、どこまで賃料を上げられるか考えることができます。
貸す前に決めておきたい三つのこと
① リフォーム
壁紙の張り替えとルームクリーニングは、貸し出す前に行うのが一般的です。ここを省くと、募集期間が長引く原因になります。
② 光熱費
電気やガス、水道のメーターが別々になっているかを確認してください。分かれていない場合は、賃料に一定額を含める、あるいは実費を按分するなど、あらかじめ取り決めておく必要があります。ここを曖昧にしたまま貸すと、後々のトラブルになりやすい部分です。
③ 契約の種類
普通賃貸借契約で貸すのか、定期借家契約で貸すのか。定期借家は、決められた手続きを正しく踏んでおけば、契約期間の満了で明け渡してもらえる契約で、「将来、自分の事務所として使うかもしれない」といったご事情がある場合には相性がよい方法です。一般的に賃料は普通賃貸借より安くなりますが、出口が読めるという安心感があります。ただし、契約前に書面で説明しておくことや、期間が1年以上の場合は満了の1年前から6か月前までに終了を通知することなどが必要で、これを欠くと期間満了で終わらせられないことがあります。実際に契約する際は、不動産会社や弁護士など専門家にご確認ください。
貸す前のチェックリスト
☐ 壁紙の張り替え・ルームクリーニングを済ませる
☐ 光熱費のメーターが分かれているか確認し、負担方法を決める
☐ 普通賃貸借か定期借家か、将来の使い方から選ぶ
まずは地域の不動産会社に相談を
適正な賃料は、その地域の募集状況を見ている業者でなければ判断できません。空いたままにしておいても、固定資産税はかかり続け、建物の傷みも進んでいきます。まずはお近くの不動産会社に、率直に状況をお話ししてみてください。
よくあるご質問
Q. 二世帯住宅の一部だけを貸す場合、賃料はどのくらい下げるべきですか。
A. 一律の目安はありません。玄関が完全に分かれているか、上階の生活音がどの程度伝わるか、駐車場を使えるかどうかで大きく変わります。周辺相場を基準に、不便な条件をひとつずつ差し引いていく考え方が現実的です。まずは地域の不動産会社に査定を依頼されることをおすすめします。
Q. 光熱費のメーターが分かれていない場合、貸すことはできませんか。
A. 貸すこと自体は可能です。賃料に光熱費相当額を含めて「込み」で募集する方法や、メーターを分ける工事を行う方法があります。工事費用と、それによって上げられる賃料を比べて判断されるとよいかと思います。
Q. 将来また自分たちで使いたくなった場合、どうすればよいですか。
A. 定期借家契約をご検討ください。契約期間が満了すれば契約は終了し、更新はありません。2年、3年と期間を区切り、契約前の書面説明や満了前の通知といった手続きを正しく踏んでおけば、そのタイミングでお部屋が手元に戻ります。借り手が見つかりにくく賃料が下がる傾向はありますが、目的がはっきりしている場合には有力な選択肢です。
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