
埼玉不動産の本川です。
2026年6月、日本銀行は政策金利を1.0%に引き上げ、さらに9月には1.25%程度へと追加の利上げを決めました。1995年以来の水準です。変動金利でアパートローンを借りているオーナー様にとっては、気になるニュースだと思います。
私たちはさいたま市北区・宮原で創業54年、2,000戸を超える賃貸住宅の管理をお手伝いしています。オーナー様と長く接してきた立場、そしてお金の専門資格であるCFP®を持つ立場から、今のうちにやっておきたい点検を3つにまとめました。
今やっておきたい3つの点検
- 点検1:契約書で「金利の決まり方」を確認する
- 点検2:金利が1%上がったときの返済額を試算する
- 点検3:繰上返済と手元資金のバランスを考える
点検1:契約書で「金利の決まり方」を確認する
変動金利は、多くの場合「短期プライムレート」と呼ばれる基準の金利に連動して見直されます。政策金利が引き上げられると、短期プライムレートもおおむね同じ幅で引き上げられることが多く、たとえば0.25%の利上げなら、変動金利も0.25%ほど上がるイメージです。まずは契約書を開いて、次の3点を確認してみてください。
契約書で確認する3点
☐ 何の金利を基準にしているか
☐ 年に何回、いつ見直されるのか
☐ 見直した金利が、いつの返済から反映されるのか
「5年ルール」「125%ルール」の有無
もうひとつ大事なのが、「5年ルール」「125%ルール」の有無です。これは住宅ローンによくある仕組みで、金利が上がっても返済額は5年間変わらず、変わるときも前の1.25倍までに抑えるというものです。
ところが、アパートローンなど事業用の借入には、この仕組みがない契約も少なくありません。その場合、金利が上がれば次の見直しからすぐに返済額が増えます。
複数の金融機関から借りている方は、借入ごとに金利・残高・見直し時期を書き出して、一枚の紙にまとめておくと全体が見えやすくなります。
点検2:金利が1%上がったときの返済額を試算する
次に、金利が上がった場合の返済額を具体的な数字で確認します。たとえば、残りの借入が5,000万円、返済期間が残り20年、毎月の返済額が一定の「元利均等返済」の場合で試算すると、次のようになります。
試算例:借入残高5,000万円・残り20年・元利均等返済
金利2.0%
月約25.3万円
金利3.0%
月約27.7万円
差は月約2.4万円、年間でおよそ29万円
ここでの「1%」は、すぐにそこまで上がるという予測ではありません。どこまでなら耐えられるかを知るための目安です。
試算した返済額は、家賃収入と並べてみてください。満室のときだけでなく、2〜3室が空いたときでも、返済・固定資産税・修繕費を払ったあとに手元にお金が残るか。ここが本当の安全ラインです。
試算は金融機関に依頼すれば出してもらえますし、管理会社に相談するのも一つの方法です。
点検3:繰上返済と手元資金のバランスを考える
金利が上がると、「早めに返してしまいたい」と考える方も多いと思います。繰上返済には利息を減らす効果がありますが、手元のお金を減らしすぎるのは注意が必要です。
賃貸経営では、給湯器の故障、外壁の塗り替え、退去後のリフォームなど、まとまった出費が突然やってきます。手元資金が足りずに修繕を先送りすると、部屋の魅力が落ちて空室が増え、収入が減る。そんな悪循環につながりかねません。

考える順番
固定金利への切り替え・借り換えは総額で比べる
固定金利への切り替えや、別の金融機関への借り換えも選択肢に入ります。ただし、手数料や違約金がかかることがあり、固定金利は変動金利より高めに設定されるのが一般的です。動く前に、かかる費用も含めて総額で比べることが大切です。
慌てず、把握して、備える
金利は自分では動かせません。けれど、契約内容を知り、返済額を試算し、手元資金を整えておくことはできます。ニュースに慌てて判断するより、数字を確認してから落ち着いて考えるほうが、結果的に良い選択につながります。
なお、借り換えや繰上返済が税金にどう影響するかは、物件や借入の状況によって変わります。最終的な判断は、税理士や金融機関とご相談のうえで行ってください。私たちも、ご所有の物件の状況を踏まえた整理のお手伝いができますので、お気軽にお声がけください。
よくあるご質問
Q. 金利が上がれば経費になる利息も増えるので、税金面では有利になるのでは?
A. 税金は減りますが、手残りも減ります。支払利息が100万円増えれば、その分だけ利益が減るので税金も減ります。税率30%なら税金は30万円減りますが、支払利息100万円-税金30万円=70万円となり、差し引き70万円のマイナスです。なお、個人か法人か、他の所得との関係によって扱いが変わる部分もあります。具体的な影響は税理士などの専門家にご確認ください。
Q. 金融機関に金利の相談をすると、印象が悪くなりませんか?
A. 返済が苦しくなってからより、余裕のあるうちに相談するほうが取れる選択肢は広がります。「今後の金利上昇に備えて、返済計画を確認したい」という伝え方であれば、前向きな相談として受け止めてもらいやすいはずです。
Q. 金利が上がった分、家賃を上げてカバーできますか?
A. 周辺の家賃相場が上がっている場合など、見直しの余地がある物件もあります。ただし家賃の変更は入居者との合意が基本で、オーナー様の都合だけで一方的に上げることはできません。まずは管理会社に周辺相場を確認してもらい、更新のタイミングなどで無理のない形を検討するのが現実的です。
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